艦船レジンキットにチャレンジしてみませんか?

最近「プラモデルは作ったことがあるのだけどレジンキットも同じように作れますか?」というご質問が多くよせられるようになりました。それだけ世間に製作意欲を刺激されるレジンキットモデルが増えてきたのは喜ばしいことなのですが、作るのにあたっていくつかの気を付けなければならない点もあります。そういった方の為に説明いたします。ここでは私の製作法を披露しますが、これは導入であって、ここから先は模型雑誌やテクニックガイドを見て自分に合った作り方を開拓していって下さい。

レジンキットについて
いわゆるレジンキットとは無発泡ポリウレタン樹脂(以下、レジン)で型取ったキットであり、ちなみに「レジン」とはそれら樹脂製品の総称ですレジンキットは作るのが難しいといわれています。否定はしませんが難しいのではなく、インジェクションキット(プラモデル)とは異なる作業方法であり、なじみがないことに起因します。ポイントを押さえて製作すれば、インジェクションキットと同等かそれ以上の模型が完成するはずです。攻略ポイントは次の3点。1.ソリを取る2. 基礎工作を怠らない。3.下地処理を確実に行う。だれにでも出来ることです。しかし何故敬遠されるのか、まず接着は瞬間接着剤でなければならない。部品にソリがありそのまま組めない。気泡でモールドがなくなっている等。レジンの物性及び製造過程で生じることであり、これらを理解して付き合わなければなりません。しかし「マニアックなラインナップ」、「精密なレジンキット」と特色のあるキットが豊富に商品化されていることから「レジンキット」とは、デメリットを十分に凌駕するだけの魅力があるといえるはずです。

離型剤をおとす

レジン製品には必ず離型剤が付着しています。この為、塗料や接着剤が付かなくなります。洗う事が一番初めの作業です。業界内で良い洗剤といわれている「トイレマジックリン(中性洗剤)」を使用し歯ブラシでゴシゴシ洗います。特に市販の離型剤落しでなければダメな訳ではありません。別に気合を入れる必要はありませんが特にモールドの密集しているところや凹形状のところはしっかり洗います。離型剤が付着していると水をはじいて水玉になっているでしょう。水はじきがなくなれば一応離型剤が落ちたわけです。しかし内部に浸透した離型剤が表面を加工することによって表に出て来てしまう事もあるので、塗装前(下地処理前)にもう一度洗います。また作業中に付着した手からの油脂やごみも洗い流す効果もありますので、是非行って下さい。もともとレジンとは食い付きが非常に悪い素材ですので、重要なのは離型剤うんぬんよりも自分自身からの油脂や汗のほうが塗装剥離に結びつきます。下地処理が終わるまでは手も模型もこまめに洗いましょう。


ソリ取りについて

レジン製品とは大小ありますが少なからずソリがあり、また反ってくるものです。
これをいかに補正するかも重要な項目です。まずできたてほやほやの製品は完全に物性が安定しているとは言えません。有機溶剤のにおいがプンプンしているはずです。ベストなのは半年ぐらい生活環境にほって置き、レジンが安定しソリができった状態で行うと良いのですが、ソリ取りだけは先に行いそのまま放っておくのも良いでしょう。あくまでも理想的な方法論です。そんな長期製作計画ができればよいのですが・・・。では作業に進みましょう。熱湯や熱風で熱を加えてソリを矯正します。熱を加えればソリが取れる訳ではありません。熱が一気に加えやすい熱湯で私は作業します。熱湯の温度は 75℃前後でしょうか。私の家にある給湯器の最大温度です。沸騰したお湯ではダメかという問いにはお勧めできないとお答えします。実際問題、温度ではなく[温度×時間]です。75℃でも95℃でもさして問題にはなりませんが、温度が高いと時間を調整するのが難しい事と火傷します。(75℃ならどうにか触る事が出来ますが、熱いことには変わりなく火傷に注意。)また表面だけがやわらかくなりすぎて、「爪を立ててしまったら傷ついた」なんてことになりかねません。温度が低すぎても曲げるのに苦労するので約75℃がよいと思います。次に時間ですが、これは実際に作業して経験してもらわないとわかりません。そのものの太さや厚さ、形状によって異なります。私はアルミの板(東急ハンズ購入)に輪ゴムで船体を密着させます。ゴムの強さは船体にソリがなくなり密着する程度です。強ければ良いということでもありません。強すぎると押さえている部分が局地的に変形する恐れがあります。そのためゴムが直接船体に触れないよう、又できる限り面で押さえたいので船体とゴムの間にプラ板を入れます。それを75℃の熱湯を船体が全部漬かるように溜めた洗面台へ1分程度漬け込みました。(時間は長くても1分が限度ではないでしょうか、小型の艦は30秒とか短くしましょう)熱湯を排水し、水で冷却します。ここで注意「すぐにアルミ板から外さないこと」船体内部の熱が残っているとまた元に戻ってしまいます。数時間もしくは一昼夜そのままにしておきましょう。「完全にとれましたね」と言いたいところですが多少ソリが残る場合があります。そこで我慢するか、もう一度チャレンジしてみる。もう一度行う場合、反っている方向とは逆に補正してみましょう。薄いスペーサー(プラ板等)を挟みこみ同様に作業します。作業後は反対側に反っていますが、数日すると水平近くまで戻るでしょう。いわゆる見込みで修正するわけです。あとはこれ以上曲がらないことを祈るのみ。それよりも製品完成後、保管状態の温度条件でソリが出てしまう可能性があります。こちらのほうがやっかいです。どうしてもソリが気に食わない方はデコパージュ等の板に模型をネジで固定するしかありません。これ以外、絶対にソリを出さない方法はないと考えます。


下地処理について

インジェクションキットもサーフェイサーで下地処理を行う場合がありますが、レジンキットはこの作業が必至作業となります。くどいようですがレジンは非常に食い付きが悪く、しっかりとこの作業をしないと「塗装時にマスキングテープを剥がしたら一緒に剥がれた」と目も当てられない状態になってしまいます。特に私の場合はエアーブラシで塗装するためマスキングテープによるマスキングが欠かせません。筆塗りの人も多少はマスキングテープを使用するでしょう。よってテープの粘着力に負けない下地を形成する事が必要です。下地に使用できるのは一般的なサーフェイサー、プライマー・サーフェイサー(プラサフ)、金属プライマーが思い浮かぶのですが、何れも一長一短があります。食い付きではサーフェイサーが劣ります。しかし表面仕上がりはプラサフが劣ります。金属プライマーがよさそうに見えますが、塗布した場所や量がつかみにくく厚ぼったくなりがちです。最終的にお勧めするのがプラサフです。プラサフも色々市販されていますが、使用したものではもっとも粒子が細かいグンゼのプラサフが良いでしょう。しかし粒子が細かいといっても吹きっぱなしでそのまま本塗装に入るのはちょっと。できればなぞる程度でよいので 1000番サンドペーパーで表面を磨きたいところです。しかし艦船模型は凸凹やモールドがあり、フィギュアのように研ぎ出しなど完全に出来るものではありません。出来る限りで諦めます。ただし中途半端な作業ですと磨いた所との差が塗装するとわかってしまいます。ここからがポイントです。部品をオーバーコート(包む)する感じでプラサフを塗布します。中途半端な塗布量ですと剥がれます。多少モールドが鈍くなってしまいますが「背に腹は返られない」と思います。またプラサフを塗布すると部品のバリやパーティングラインが見えてきます。これらを仕上げます。プラサフにより十分な塗膜が確保されたら、先の表面研ぎ出しを軽く行い本塗装に入ります。一切、下地が見えないことが条件です。これらはマスキングテープが関係する部分について慎重に作業して欲しいということであり、軽めの作業でも触った程度で剥がれる事はまずないでしょう。臨機応変に対応しましょう。(この辺が文章で伝わらないことで、実際やってみないと感じがつかめないはずです。)重要なことを言い忘れていましたが、メーカーからの注意でプラ材にプラサフは使用してはいけないと記されています。そうなると当然プラパテは使用できませんし、プラ板を使用した複合部品はプラサフでは吹いてはならないとなるわけです。少なからず、プラ材を侵す成分が入っているのでしょう。飛行機モデルのアレと同じです。スライドマークの上にラッカークリヤーを吹いてはいけないのと同じ理由です。メーカーとしてはユーザーがどのような使い方をするかわからないので、あいまいな表現は使えません。(常識的範囲なら大丈夫と言いたいところでしょうが)今までこの件で不具合を生じた事は一度もありません。

よろずや 1